東京都監査委員監査基準

本基準は、地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「法」という。)、地方公営企業法(昭和27年法律第292号。以下「企業法」という。)及び地方公共団体の財政の健全化に関する法律(平成19年法律第94号。以下「健全化法」という。)の規定に基づく東京都監査委員による監査、検査及び審査(以下「監査等」という。)の実施及び報告等に関する基本原則を定める。

第1章 総則

第1節 監査委員

(監査委員の役割)

第1条 監査委員は、法の規定に基づき設置された独任制の執行機関として、住民の負託を受けて公正不偏の立場から監査を行い、公正で効率的な行財政運営を確保することを責務とする。

  • 監査委員は、監査等の全ての過程において、事務局職員を監督し、指導しなければならない。

(主査監査委員)

第2条 主査監査委員は、議員選任の監査委員より、監査委員の合議により決定する。

  • 主査監査委員は、監査委員の合議のとりまとめ、講評、議会報告その他代表監査委員の事務に属しない事務を処理する。
  • 主査監査委員に事故があるとき、又は主査監査委員が欠けたときは、議員選任の監査委員がその職務を代理する。

(合議)

第3条 監査の実施に関する重要事項は、全て監査委員の合議に基づいて執行する。

  • 前項の事項を例示すると次の各号のとおりである。

  • 監査等の方針に関すること
  • 監査等の計画に関すること
  • 監査等の結果に関する報告及び意見の決定に関すること
  • 監査等の結果に関する講評及び公表に関すること
  • 監査結果措置の徴取及び公表に関すること
  • 都民からの監査請求に関すること
  • 全都道府県監査委員協議会連合会に関すること

(監査委員の事務分担)

第4条 監査等の執行上必要があるときは、監査委員の協議により担任区分を定めることができる。

第2節 監査の基本事項

(監査等の目的)

第5条 監査等は、法その他関係法令の規定の趣旨に沿い、都の行財政運営の適正性及び透明性の向上に寄与し、都政への信頼確保に資するよう運営しなければならない。

(監査等の着眼点)

第6条 監査等は、合規性、経済性、効率性及び有効性の観点に留意して実施しなければならない。

(各種監査の調整)

第7条 監査等は、各監査等の成果が相互に有機的に連携するよう調整し、運用しなければならない。

(指導的機能の発揮)

第8条 監査委員は、問題点の指摘のみならず、将来にわたる不正行為、不経済支出等の抑止の観点から指導的機能を発揮しなければならない。

(監査等の手法)

第9条 監査等は、監査等の対象のリスクを考慮した上で、監査の重点化を図り、効果的かつ効率的に実施しなければならない。

  • 監査等の手法は、毎年の監査結果及び措置の状況を踏まえ、改善に努めなければならない。

(監査等の種類)

第10条 監査等は、次に掲げるとおりとする。

  • 定例監査は、毎会計年度一回以上、法第199条第1項、第2項、第4項及び第7項の規定に基づき実施する。
  • 工事監査は、原則として毎年、法第199条第1項及び第5項の規定に基づき実施する。
  • 財政援助団体等監査は、原則として毎年、法第199条第1項、第5項及び第7項に基づき実施する。
  • 行政監査は、原則として毎年、法第199条第2項及び必要に応じて同条第7項の規定に基づき実施する。
  • 決算審査は、法第233条の規定又は企業法第30条の規定に基づき実施する。
  • 基金運用状況審査は、法第241条の規定に基づき実施する。
  • 例月出納検査は、毎月一回、法第235条の2の規定に基づき実施する。
  • 健全化判断比率等審査は、健全化法第3条又は第22条の規定に基づき実施する。
  • 住民監査請求に基づく監査は、法第242条の規定に基づき実施する。
  • 前各号に掲げるもののほか、法その他関係法令の規定に基づき監査を実施する。

第2章 監査等の実施

第1節 計画

(監査計画)

第11条 監査等は、毎年定める監査基本計画及び監査等ごとに定める実施計画に基づいて実施しなければならない。

  • 監査基本計画は、社会経済状況、都政の動向を踏まえ、内部統制体制の整備及び運用等の状況を総合的に勘案し、監査の基本方針等を定める。
  • 実施計画は、本基準及び監査基本計画に基づき、各監査の対象、実施期間等を定める。

(監査等の実施方針)

第12条 定例監査は、次の各号に定めるところによる。

  • 都の事務の執行及び経営に係る事業の管理について、監査を実施する。
  • 都における事務及び事業の執行全般を対象として、合規性はもとより、経済性、効率性及び有効性の観点にも留意して実施する。
  • 監査に必要な場合、財政援助団体等が行っている業務についても対象とする。
  • 実地監査場所の基準は別に定める。

2 工事監査は、都が実施する工事等を対象として、計画、設計、積算、施工等の各段階において、主として技術面から当該工事等が適正に行われているかという合規性の観点を主眼として、経済性、効率性及び有効性の観点にも留意して実施する。

3 財政援助団体等監査は、次の各号に定めるところによる。

  • 財政援助団体等に対する監査は、原則として次に掲げる観点から実施する。
  • 都が補助金等を交付している団体については、対象事業が補助等の目的に沿って適正で効果的に行われているかを主眼として実施する。
  • 都が出資又は出えんを行っている団体については、当該団体の事業が出資又は出えんの目的に沿って適切に運営されているかという観点とともに、会計経理等の適正性や費用対効果など経営的な観点からも実施する。
  • 公の施設の指定管理者については、施設の管理が管理を行わせている趣旨に沿って、適切に行われているかを主眼として実施する。
  • 財政援助団体等を所管する局等に対する監査は、局等が当該団体を適切に指導監督しているかという観点とともに、財政援助等の有効性、効率性にも留意して監査を実施する。
  • 対象団体の選定基準は別に定める。

4 行政監査は、次の各号に定めるところによる。

  • 特定の事務又は事業を選定し、当該事務又は事業の執行について、経済性、効率性及び有効性の観点を主眼として実施する。
  • 前号に定める特定の事務又は事業の選定に際しては、当該事務又は事業の継続性、都政における重要性等を考慮し、選定することに意義があるものとしなければならない。
  • 監査に必要な場合、財政援助団体等に対する監査も実施する。

5 決算審査は、次の各号に定めるところによる。

  • 各会計歳入歳出決算審査は、決算計数が適正なものとなっているか確認するとともに、予算執行、資金運用及び財産管理の状況について審査する。
  • 公営企業各会計決算審査は、決算諸表が会計の実態を適正に表示しているか確認するとともに、経営成績、財政状態及び建設改良事業について審査する。

6 基金運用状況審査は、基金運用状況調書等の計数が適正なものとなっているか確認するとともに、基金の運用がその設置目的に沿って適正かつ効率的に行われているかについて審査する。

7 例月出納検査は、次の各号に定めるところによる。

  • 検査は、各会計の毎月の現金の出納を対象として、計数が適正なものとなっているか確認するとともに、保管現金の確認を行う。
  • 検査は、都の財政収支の動態を主として計数面から把握して決算審査等と有機的な連携を図る。

8 健全化判断比率等審査は、各比率が適正に算定されているかを主眼として実施する。

9 住民監査請求に基づく監査は、都の執行機関等の違法・不当な財務会計上の行為又は怠る事実を是正し、都民全体の利益を確保する見地から、的確に実施する。
なお、本基準第9条、第11条、第13条、第14条第1項及び第4項、第15条並びに第16条の規定は、住民監査請求に基づく監査には適用しない。

第2節 監査の実施

(事前準備)

第13条 監査の実施に当たっては、事前に監査対象に係る過去の監査及び措置の状況を整理するとともに、監査対象となる事務又は事業の問題点の把握に努め、次の各号に掲げる事項について資料を作成しなければならない。

  • 監査対象に係るリスク及び着眼点
  • リスク及び着眼点を踏まえた職員の編成、実地監査日程及び審議日程
  • 前各号のほか必要と認める事項

(実地監査)

第14条 実地監査は、監査計画及び前条の資料に基づき行う。

  • 特に必要と認める場合を除き、事務局職員が実地監査及び事実確認を行い、監査結果案を作成する。
  • 実地監査を行う職員は、的確な見通しに立脚し、広い視野から個々の事実を究明するとともに、十分かつ適切な証拠資料を基に適切な監査結論を導かなければならない。
  • 監査結果は、是正改善を求めるものを指摘事項、改善の検討を求めるものを意見・要望事項として記載するものとする。

(講評及び監査結果の決定)

第15条 事務局職員は、実地監査終了後、監査結果案を監査委員の審議に付さなければならない。

  • 監査委員は、講評を行うための監査結果案を合議により確定させる。
  • 監査委員は、講評を行い、監査対象から見解を聴取し、監査結果を合議により決定する。ただし、指摘及び意見・要望事項がなく、講評を行う必要がないときは講評を省略することができる。
  • 指摘等の内容が軽微である場合等については、前項の規定にかかわらず、監査委員の合議により、講評を事務局職員に行わせることができる。
  • 監査委員の審議の結果及び講評の結果は、監査の実施に支障が生じない範囲において公表する。

第3節 監査結果措置

(監査結果措置の徴取及び確認)

第16条 監査等の結果について、監査等報告書を提出した知事等関係機関から、監査結果措置を徴する。

  • 監査結果措置を徴したときは、是正改善の状況とともに再発防止の観点から措置状況を確認する。

第3章 報告

(監査等報告書の作成)

第17条 監査等の結果を決定したときは、速やかに監査等報告書を作成しなければならない。

(監査等報告書の提出及び公表)

第18条 監査等報告書は、都議会及び知事等関係機関に提出するとともに、速やかに公表する。

  • 監査等の結果について、知事等関係機関から措置を講じた旨の通知を受けたときは、都議会に提出するとともに、速やかに公表する。
  • 住民監査請求に係る勧告に基づき、知事等関係機関から措置を講じた旨の通知を受けたときは、請求人に通知するとともに、速やかに公表する。

附則

第1条 本基準の実施に必要な事項の決定は監査事務局長に委任する。

第2条 本基準は、監査委員の決定の日から施行する。