住民監査請求結果(平成19年受付分)

1 交通局早稲田自動車営業所青梅支所における事務引継にかかる超過勤務手当の支給が違法・不当としてその返還を求める件

請求日 平成19年2月19日
結果通知日 平成19年4月18日

請求人の主張

請求人は、大和操車所及び青梅支所における事務引継を超過勤務の事由とする本件手当の支給が違法・不当であるとして、次のように主張した。

1 大和操車所の職員の事務引継にかかる超過勤務時間は実績に見合ったものではないことから、過大に支給した本件手当の返還を求めること。

2 青梅支所の本件支所職員に対する本件手当の支給は、一定時間を基礎として行われていることから、事務引継を改善の上、実績による支給を行うこと。

監査結果

理由なし(棄却)

1 大和操車所の職員に対する本件手当の支給について

(1)事務引継にかかる超過勤務は、わずかな時間で行われ、実績に見合ったものではないことについて、請求人及び監査対象局の主張は一致している。しかしながら、監査対象局は、超過勤務の対象としているのは、夕食休憩時の1時間であり、この超過勤務について超過勤務命令簿に事務引継として正規の勤務時間外の時間を記載したことは、交通局自動車部事務管理システム上入力できないためであったと主張している。

(2)このことについて、夕食休憩時に1時間の超過勤務命令をした事実を確認できる関係資料等は見出されず、また、超過勤務命令簿に超過勤務の事由や時間帯が適切に記載されていないという問題はあるものの、大和操車所が1人体制の職場であり、窓口及び運行管理等の業務を継続的に行っていることからすると、休憩時間中に一定の業務を行っていることは推認でき、本件手当を最低限1時間支給することが不合理であるとは言えない。

2 青梅支所の本件支所職員に対する本件手当の支給について

事務引継については、担当する業務によって、標準となる超過勤務時間が定められ、これに基づいて超過勤務手当を支給していることに疑問は残るものの、事務引継は定型的な業務を繰り返し行うものであり、業務量に大幅な増減は見込めないと考えられるため、簡便な方法として処理していることは理解できる。また、青梅支所長が実施状況を現認するとともに、超過勤務命令簿も整っていることが確認できることから、本件手当を支給したことが不合理なものとは言えない。

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2 都営住宅敷地内に自治会等が設置した駐車場等は行政財産の無断使用であり不当利得分の返還を求める件

請求日 平成19年11月2日
結果通知日 平成19年12月25日

請求人の主張

請求人は、池尻団地の敷地の一部が駐車場所として無断で使用されていること等を違法であると主張し、不当利得分の返還を求めた。

監査結果

理由なし(棄却)

(1)団地敷地内の一部が駐車場所として使用されていたとする件について

都営住宅を具体的にどのように管理するかは監査対象局の裁量に委ねられているところ、建替え等の特段の事情を含め、池尻団地の管理の総合的な判断として、監査対象局が、団地敷地内の無断駐車を積極的に是正指導せず、結果として、団地敷地内の一部が駐車場所として使用されていたことをもって、直ちに違法・不当に財産の管理を怠っているとまではいえない。

(2)団地敷地内通路の一部が八百屋の営業に使用されていたとする件について

池尻団地敷地内における八百屋の営業は、面積も狭小であり、時間的にも一時的なものと認められるので、団地内通路の一部が八百屋の営業用に使用されていても、法第242条第1項に定める財産の管理を怠る事実に当たるとはいえない。


ところで、本件に関して、都監査委員は、同様の事例について都営住宅の管理を適切に行うよう求め、その後提起された住民訴訟において、監査対象局は「今後も、都営住宅の適正な管理に向けて積極的に努力する」との和解条項に同意した。

監査対象局が、無断駐車等の都営住宅敷地の不適正使用について一定の是正改善措置を講じてきたことは否めないが、都営住宅は都民共有の財産であることから、より慎重な対応が求められるのであり、監査対象局にあっては、都民に疑念を抱かれることのないよう、適正な管理に努められたい。

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3 都議会議員補欠選挙において公費負担となる選挙運動用自動車の燃料代の支出を違法・不当としてその返還を求める件

請求日 平成19年12月10日
結果通知日 平成20年1月31日

請求人の主張

請求人は、平成19年4月8日執行都議会議員補欠選挙の石原聖康候補者、田之上郁子候補者及び田島和明候補者にかかる選挙運動用自動車の燃料代の支出が違法・不当であると主張し、その返還を求めた。

監査結果

理由なし(棄却)

(1)石原聖康候補者について

石原聖康候補者にかかる燃料供給業者においては、当初の申請に基づき都から支出された燃料代は6万6,150円であったが、実際の燃料代は1万7,687円であったため、平成20年1月22日に、6万6,150円から1万7,687円を除く4万8,463円を都に返還したことが認められた。

(2)田之上郁子候補者について

田之上郁子候補者にかかる燃料供給業者においては、当初の申請に基づき都から支出された燃料代は6万5,202円であったが、実際の燃料代を確認できなかったため、平成19年11月5日に、6万5,202円全額を都に返還したことが認められた。

(3)田島和明候補者について

田島和明候補者にかかる燃料供給業者においては、当初の申請に基づき都から支出された燃料代は6万3,180円であったが、実際の燃料代は2万0,071円であったため、平成19年12月28日に、6万3,180円から2万0,071円を除く4万3,109円を都に返還したことが認められた。


以上のことから、平成19年4月8日執行都議会議員補欠選挙の石原聖康候補者、田之上郁子候補者、及び田島和明候補者にかかる公費負担の対象とならない選挙運動用自動車以外の自動車の燃料代支出相当額については既に返還されており、都に損害は生じていないことが認められた。

このため、選挙運動用自動車の燃料代の支出が違法・不当であるとして、その返還を求める請求人の主張には理由がない。

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4 都議会議員選挙において公費負担となる候補者ポスター代の支出を違法・不当としてその返還を求める件

請求日 平成19年12月17日
結果通知日 平成20年2月13日

請求人の主張

請求人は、平成17年7月の都議選において田代候補者、秋田候補者外121名の候補者が、公費負担となるポスター代について架空請求を行っていると主張し、当該架空請求相当額の返還を求めた。

監査結果

理由なし(棄却)

(1)田代候補者にかかる公費負担となるポスター代の請求について

田代候補者の選挙運動用ポスターは、1枚当たり1,260円で、1,768枚作成されたと認められるので、公費負担額は113万1,520円となる。

(2)秋田候補者にかかる公費負担となるポスター代の請求について

秋田候補者の選挙運動用ポスターは、1枚当たり1,300円で、746枚作成されたと認められるので、公費負担額は96万9,800円となる。


公費負担についてはいずれも適正であり、架空請求の事実は認められない。
(なお、その他121名の候補者にかかる請求については、所定の要件を備えていないことから、監査を実施しなかった。)

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