平成20年各会計定例監査(平成19年度執行分)報告書

監査委員は、本日の第三回都議会定例会に「平成20年各会計定例監査報告書」を提出しました。

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監査の概要

平成19年度の財務に関する事務の執行や経営に係る事業の管理について、合規性、経済性、効率性、有効性の観点から監査しました。

平成21年度の財務に関する事務の執行や経営に係る事業の管理について、合規性、経済性、効率性、有効性の観点から監査しました。

本庁137部全てと、事業所346所を対象に監査を行いました

【監査実施状況】

区分 監査対象箇所数 監査実施箇所数 実施率
本庁
137部
137部
100%
事業所
782所
346所
44%
919
483
53%

監査の結果

監査の結果、105件の指摘等を行いました。

【重点監査事業(事項)について】

1 重点監査事項及びトップインタビュー
特命随意契約は、競争を通じた妥当性の検証が期待できないことから、慎重かつ厳正な運用が求められています。そこで、今回は、特命随意契約を「重点監査事項」に設定【報告書の8頁】して監査を行い、37件の指摘等を行いました。
また、今回初めて「トップインタビュー」として、監査委員が直接、各局の幹部職員と事業環境や運営方針について質疑を行い、局の内部統制の状況について確認しました。

2 財務諸表監査
(1)東京都財務諸表について
平成19年度東京都財務諸表が、東京都会計基準に準拠しているかを検証することを目的として実施した結果、監査の対象とした財務諸表については、東京都会計基準に概ね準拠して作成されていると認められました。
(2)帳簿組織について
財務諸表の基礎となる帳簿組織について監査を行った結果、貸借対照表の各勘定科目の残高は、個々の内訳に至るまで検証が可能であると認められました。ただし、一部の帳簿組織については、今後、必要なプログラムの改善、所要の機能の導入等を検討するよう提言しました。

主な事例(要旨)

1 都営住宅に係る保証金等の返還方法を見直すべきもの

局は、都営住宅の退去者に対し、都営住宅の保証金等の返還がある場合は、ゆうちょ銀行の「通常現金払*」によって返還しているが、平成19年度において、現金に交換されなかった保証金等が213件あった。
交換されなかった保証金等について、局は、退去者の移転先住所や交換されなかった理由等を調査の上、再送付している。
しかし、都営住宅の家賃の支払は、大部分が口座振替により行われており、退去時に返還金がある場合の返還方法として、口座への振込みを選択できるようにすることは可能である。
このように口座振替で行えば、事務の効率化が図れるとともに、返還金を受ける退去者にとっても、ゆうちょ銀行等に出向く必要がなくなり、利便性を向上させることができる。
* これは、局が退去者の移転先に払出証書を送付し、退去者はゆうちょ銀行又は郵便局で6か月以内に払出証書と引換えに現金を受取る方法である。
【指摘事項】 都市整備局報告書本文 p.53

2 効果的、効率的なシステム開発等に取り組むべきもの<重点監査事項>

本部は、新たな病院事業財務会計システムを構築するため、平成17年度に概要・基本設計委託をした事業者に、特命により平成18年度、詳細設計・構築委託(契約金額:9,597万円)を行い、システムの運用に支障がないことを確認したうえで、平成19年4月から新システムを稼動させている。
しかし、運用開始直後からシステムに不具合が生じたため、平成19年度、特命により、追加開発作業委託(合計契約金額:1億3,947万余円)を行っている。
さらに、監査日現在、各病院から60件を超える改善要望があり、これらについても今後、追加開発の検討を行わざるを得ない状態にある。
ところで、それらの追加開発の内容は、旧システムに備わっていた機能であり、平成18年に行った事業者との合意確認時の仕様調整で盛り込み、新システムの動作検証を十分に行っていれば、平成18年度の構築委託で開発できたものであり、当初開発費用を上回る費用を要して、追加開発を実施していることは適切でない。
【指摘事項】 病院経営本部報告書本文 p.76

3 滞納処分の執行停止に係る事務処理を適正に行うべきもの

局は、高額滞納者について、滞納処分の執行の停止から2年を経過した日以後において、滞納者の資力が回復し徴収金の納付が可能であるか否か調査し、調査の結果、徴収金を徴収することができないことが明らかであるときは、不納欠損として処理し、納税義務を消滅させることとしている。
しかし、渋谷都税事務所は、高額滞納者Aが納付すべき個人事業税及び自動車税463万900円について、十分な調査を行わずに滞納処分の執行停止と同時に不納欠損処理を行っている。
【指摘事項】 主税局報告書本文 p.39

4 事業用空き家を適切に管理すべきもの

都営住宅の建替、改装の期間中には、入居者を他の団地に移転させなければならないため、局は、新築都営住宅の一部を移転先事業用空き家として確保している。
通常、事業用空き家を確保してから入居までに最長で3年ほど要することを考慮すれば、新築後3年程度、事業用空き家を確保していくことはやむを得ないが、3年以上未入居のままになっている新築の事業用空き家が478戸認められた。
部は、新築未入居の状態が長期間にわたらないよう、事業用空き家を適切に管理する必要がある。
【指摘事項】 都市整備局報告書本文 p.58

5 スポーツ施設予約センターの特命随意契約の見直しを行うべきもの<重点監査事項>

局は、スポーツ施設予約センターにおける予約管理、抽選、利用案内等の業務を、
①高い機密性及び公平性の確保
②「都市公園法」、「都立公園条例」等関連法規の熟知
③都立公園の指定管理者であり、公園管理業務に精通しているため、公園管理者との連携が円滑に行えることを理由に、財団法人東京都公園協会に特命により委託している。
しかし、①については、当該契約の仕様書で、個人情報の保護や機密管理について規定していること、②及び③については業務マニュアルにより他の業者でも業務の履行ができることから、特命による随意契約の見直しを行うべきである。
【指摘事項】 建設局報告書本文 p.91

6 ごみ収集袋の用品指定について検討すべきもの

局では、用品の指定品目の見直しを検討する等のため、利用者に毎年1回アンケートを実施している。
平成19年のアンケートによれば、ごみ収集袋の厚さを現行の0.022mmから0.02mmにしても支障がないという意見が9割以上にのぼったが、大口利用者である学校からの現状維持を求める意見に配慮し、用品指定を現状の0.022mmのままとしている。
しかし、①0.02mmのごみ収集袋に変更することによって、市場価格で比べると4割程度の経費削減効果が見込まれること、②大口利用者とする学校の中でも0.02mmで支障がないという意見があることから、0.02mmのごみ収集袋を試行的に供給するなどし、使用上の支障の有無を検証されたい。
【意見・要望事項】 会計管理局報告書本文 p.102

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